数年前に子供に買ったカワイのミニピアノが落下により中の金属パイプがずれてしまい音がならなくなってしまったので自分で修理してみました。
修理したミニピアノはこの商品です。
分解・構造
まずは分解しますがこのピアノは後ろからネジで止めてあるので裏返しにして長いドライバーでネジを外します。ネジを外したら本体が開かないように押さえながらまた戻して開ければいいのですが戻す時に手が滑り、裏返しのまま中身をぶちまけたので鍵盤がバラバラになってしまいました。(下の画像)
過ぎたことは仕方がないので構造を見ていきます。
本体の部分です。木材がネジで止められピアノと同じようにハンマーがついています。ハンマーの軸は折り目がついた厚紙でハンマー自体は木にフェルトをつけたようなものでした。わかりにくいですが奥には白い厚紙がつけてあり反響を抑えて音を上部の穴に誘導する役割があると思います。このミニピアノは5,000円しない価格なのですが音に関係する部分は安い素材ですがプラスチックを使わないで音をできるだけ良くしようとする努力が見られます。
本体の鍵盤を置く部分です。鍵盤のパーツを置くだけの構造になっていて鍵盤を押した時に余計な音が軽減されるように鍵盤の底が当たる部分にはフェルトやスポンジが敷いてありました。フェルトは問題ありませんがスポンジは劣化していて機能を果たしていません。やはり普通は掃除ができないところなのでゴミが溜まっていました。
蓋の部分です。鍵盤を押さえるところにフェルトがあり、音が出るように穴が空いています。本体にはまるように溝がありますがそれ以外は特徴がありません。
音源部にあたる金属パイプです。このパイプが中でずれてしまったので今回修理をすることになりました。楕円のパイプになっていて軽いのでアルミでできているようです。
カワイの説明ではほとんど音程に狂いが生じないそうです。
裏はこのようになっています。1本が独立していてスポンジのついた両面テープでついています。これは先ほどの本体の木の上に置いてあるだけでした。本来はスポンジと両面テープで木に固定されて少し浮いたような状態に保ち音を響かせていたようですがスポンジが劣化してしまったので音の響が悪くなり、さらにパイプがずれやすくなったのだと思います。
金属を叩いて音を出すので音源自体は鉄琴と同じ構造になっています。
鍵盤のパーツです。音階によって形が違います。
裏面です。中は空洞なので軽いです。
横から。真ん中の溝を支点にしてシーソーのように動きます。
ハンマーの部分です。下から鍵盤部品で押し上げパイプを叩きます。軸は紙ですがしっかりを厚みがあります。
ハンマーがついている木材は3mmくらいのベニアを3枚重ねて切り出しているようです。音の響の問題でこの部分はプラスチックではなく木材を選んでいると思います。
せっかく分解したので掃除もしておきます。
他のパーツも水拭きしました。
はじめに分解するときに鍵盤をぶちまけたので鍵盤の配置がわからなくなりましたがパーツをよく見るとしっかりと音階が書いてありました。
黒鍵は音階ではなく数字でした。
とりあえず組み立てて見ます。
溝にはめるだけなので難しくはありません。支点になる部分の紙は多分摩擦軽減のためについていると思います。
このようにハンマーをしたから押し上げます。音を出す構造はピアノと同じに出来ています。ここもこだわりが感じられます。
下から見るとこんな感じです。ハンマーの下にもフェルトが貼られています。
修理
全ての鍵盤をつけるとこのようになります。ちゃんと連動しています。ここで気がついたことは音源がない状態で鍵盤を押すと押した時と離して鍵盤が戻る時にパーツ同士があたるカチャカチャという音が結構気になります。これをどうにかします。
音源が乗る木を外します。二ヶ所ネジで止めているだけなので簡単に外せます。
鍵盤も取ります。バラバラにすると大変なので順番に並べながら外しました。
鍵盤の下には先ほどもありましたが鍵盤パーツを支えるスポンジがあります。鍵盤を押していないときは常にこのスポンジの上に乗っていますがスポンジが劣化してしまい高さがなくなっているので鍵盤を離した時に画像でコルクシートが貼ってある部分に鍵盤パーツが当たりプラスチック同士が打つかる「バンッ」という音が出てしまいます。その音の軽減のためコルクシートを貼りましたが軽減しきれなかったのでスポンジを変えることにしました。
スポンジはよくある隙間を埋めるスポンジシールにようなものなのでテープでついていて、本体がプラスチックなので簡単に剥がすことが出来ます。
よく見たら本体にも音階が書いてありました。
劣化したスポンジの代わりは同じような隙間スポンジにしようと思いましたが高さがあり弾力も弱く劣化しやすいので百均を探していたらちょうどいい高さのものを発見しました。
こちらの結露防止のテープです。これならば弾力が強く、劣化もスポンジよりはマシだと思います。スポンジのように気泡があるので音源を浮かすことができ響きもでるとは思います。
ちょうどいい細さに切って貼り付けます。ハサミで簡単に切れます。
このようにスポンジ部分が新しくなったおかげで微妙に浮くようになり鍵盤を戻した時の音は解消されました。(コルクシートの意味はなくなりましたが・・・)
ただし「バンッ」という音は無くなりましたが他にもパーツ同士が当たる音があるので完全に無くなりません。
音源を取り付けるため先ほど外したハンマーがついた木の部品を再び戻します。
もともと音源がついていた部分には劣化したテープが残っているので剥がします。先ほどとは違い木材についているので剥がしにくいです。カッターなどを使えば少しは剥がしやすくなります。
全て剥がし終えたらテープを作ります。
さっきの結露防止のテープは粘着がついていますが本体と音源の両方を固定したいので両面に粘着がなければならないので粘着がついていない方に両面テープを貼り細く切ります。
このように先木材のほうに貼ってから音源をつけるために剥離紙を剥がします。
音源のパイプについているテープも剥がし、拭くなりしてきれいにしておきます。
1本ずつ本体につけていきますがよく見るとハンマーが叩いたあとが残っているので上から見て同じところが叩かれるようにつけていきます。多少ずれても問題はありませんが隣のパイプとついてしまうと音が鳴らなくなるので必ず微妙に隙間を開けます。
このように全てつけたら上から細く切った結露防止のテープを貼り固定したら修理完了です。(ハンマーの跡が結構ずれてました。)
横から見るとこのようになります。鍵盤は蓋により固定されますが音源はテープでのみ固定されているのでちゃんとテープでついていれば多少揺らしても動きません。
ちゃんとついていることを確認したら蓋をして固定してから慎重に裏返し、元どおりネジを止めて終わりです。
完成・費用・道具
掛かった費用は「結露防止のテープ」と「両面テープ」の計200円だけでした。
必要な道具は「長いプラスドライバー」「ハサミ」「掃除道具」「カッター」ですが「掃除道具」「カッター」はなくても問題はありません。
修理後、もちろんちゃんと音は鳴っています。鍵盤のパーツが修復不可能なくらい壊れたりしない限りは音源は狂わないので何度でも修理は可能だと思います。
もし壊れたミニピアノがあればためして見てください。